研究概要 |
本研究は土地利用型農業に対する作業ロボットの協調作業管理システムの構築を目標に,本年度は併走する複数の農作業ロボット間の通信システムを構築することを目的とした。通信システムを構築するにはハードウェアである通信媒体とソフトウェアであるプロトコルの両者を整備する必要がある。本研究では広大な農作業環境でも利用可能な通信媒体として無縁LANを採用した。この結果,個々のロボットが自律作業を行うための基礎情報を共有することが可能となった。通信プロトコルには情報伝達の遅れを考慮し,独自のプロトコルを作成した。本プロトコルは現在策定中の国際規格(ADIS ; ISO11787)とも互換性を維持することを前提として作成したため,将来的に農用機械間の通信プロトコルが普及した後でも使用可能である。本システムを使用して,収穫作業時における収穫作業車両と収穫物搬送車両の併走を例とした協調制御アルゴリズムの構築を行った。制御アルゴリズムとしてはスライディングモード制御を用い,精度の比較対象としてPID制御を採用して,シミュレーションと実機実験によってその精度を検証した。その結果,シミュレーションでは旋回動作を含む走行経路に対してロバスト性に優れるスライディングモード制御がPID制御に比べ良好な精度で走行可能であることが明らかとなった。また,実機実験においてもスライディングモード制御を用いることで,15cm程度の誤差で走行可能であることを明らかにした。
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