研究概要 |
本研究は土地利用型農業に対する作業ロボットの協調作業管理システムの構築を目標に,本年度は農作業ロボット群の管理システムを作業適期,気象条件などを考慮して運用可能な管理・運用システムに拡張することを目的とした。昨年度まで構築したロボット監視・管理システムは2台での使用を前提とし,相互の情報通信に主眼をおいていた。今年度はこれを拡張し,管理・運営を行うオフィスPCを含めた合計3ホストでの通信環境を構築した。これによりオフィスPCで取得される気象条件,作物の育成情報,小麦など乾燥の必要な作物であれば協乾施設の利用状況など,作物の生育プロセスからポストハーベストまで含めた広い視野での作業管理・運営が可能となる。また,昨年度まではこれらの情報通信に独自方式およびISO11787で策定されたADISをベースとしていた。しかし,農用車両内外における通信規格ISO11783において,車両内外通信方式がADISからXMLを基本としたAMEDに変更される伴い,これらの通信方式を同様のAMED方式に統一した。さらに,ISO11783 Part10で記述されるMIS(Management Information System)とMICS(Mobile Implement Control System)間通信方式に準拠したロボット群管理・運営システムとして利用できるようシステム構成を変更した。これらにより,今年から欧米諸国で市販されるISO-BUS(ISO11783準拠の作業機バス)対応製品にも適応した作業管理システムとして利用可能となるシステムの構築ができた。 上記の変更により最適運用問題の解決までには至らなかったが,複数車両を管理し問題解決の糸口となる管理運営データベースを構築することができ,将来的に作業性能の多様性にも適用可能な複数ロボット群の最適運用システムの基礎を構築することができた。さらにここで構築したシステムを産業用無人ヘリコプタに搭載することで遠隔地における作物生育情報収集システムとしての適用可能性についても明らかにすることができた。
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