自動哺乳システムにおいて哺乳終了後にUターンして退出できるように出口を設置した「ウォークスルー型(改良型)ドリンクステーション」について、その有効性を明らかにするため、多頭数飼養下での子牛のステーション利用状況を従来型と比較検討した。 自動哺乳舎内の2つの哺育ペンにおいて、改良型ステーション1基を設置したペンでは最大55頭の子牛を、従来型ステーション2基を設置したペンでは最大60頭の子牛を哺育し、子牛をペンに導入した生後約7日齡から離乳までの47日間にわたり調査した。調査期間中は全頭について毎日の代用乳摂取状況を記録した。また両ペンからランダムに選出した各5頭について、ステーション滞在時間および訪問回数を導入後1週目から毎週1回調査した。 ペン内の全頭に対する、1:30から8:30までに全く哺乳していない子牛の割合は、従来型、改良型ともに同様の経過で減少していき、導入後20日目以降ではその子牛はほぼ存在しなくなった。また改良型では、哺乳時、非哺乳(ステーションに進入したが代用乳が与えられなかった場合)時ともに、1回あたりのステーション滞在時間が導入後4週目以降、従来型に比べ有意に短くなった。改良型は哺乳終了後、速やかに退出が行われるために、ステーション滞在時間が減少し、その結果として改良型1基で従来型2基とほぼ同頭数の哺乳が可能になったと考えられる。一方で、改良型は哺乳中に割当量を完全に摂取する前に哺乳を止めてしまう中断の回数が従来型と比べ多かった。改良型の中断は、哺乳中の子牛がステーション入り口付近で待機している他の子牛に押し出されたことが主な原因だと考えられる。今後は哺乳中に中断が発生しないドリンクステーションの構造を検討していく必要がある。
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