研究概要 |
安全性・疾病予防性を持つ高品質畜産食品(食肉・卵)の効率生産システムの開発を目標として、低脂肪食肉・卵生産システムの開発研究の一貫として、申請者がはじめて発見した新規リポプロテインレセプターであるLRP380に着目して、その同定・機能解析・発現制御を試みた。 (1)LRP380の完全長cDNAのクローニング ・すでに申請者が得ている鶏LRP380cDNA部分配列(約600bp)を用いて、鶏LRP380完全長cDNA配列を決定した。鶏LRP380は15,448bpで、そのコードするタンパク質は4,658アミノ酸であった。本cDNAは、ヒトLRP2(Megalin)と相同性が高く(68%)、LDL receptor familyの一つであるヒトLRP2のホモログであると断定された。 ・RT-PCRおよびNorthern blotにより、鶏LRP380mRNA発現の組織分布を検討したところ、腎臓で最も発現量が高く、肝臓、脳、副腎、脾臓、小腸、大腸、肺、膵臓、精巣、卵巣で発現が認められ、筋肉、脂肪組織および心臓におけるその発現は微量であった。 (2)LRP380の抗体作成と精製LRP380蛋白質の単離 ・cDNAの配列より、リコンビナント蛋白質を大腸菌で作成し、ウサギ抗血清を作製した。 ・抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーおよび各種カラムによる精製操作により、鶏卵巣より精製LRP380を得た。現在、本精製タンパク質を用いて、免疫組織化学的に観察の可能な、良質の抗体を作成中である。
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