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ヒヨコ松果体は一個一個の細胞に光受容器、時計機構、およびメラトニン合成機構が備わり、互いに共役することによりメラトニン分泌リズムを示す。松果体細胞を明暗条件下で培養すると、暗期に高く明期に低いメラトニン分泌リズムが認められ、恒常暗下では自由継続リズムを示す。この恒暗条件下のメラトニンリズムは時計のアウトプットを反映する訳であるから、細胞内に時計からの伝達因子が存在することになる。今回、この時計からのリズムはどのようにして、メラトニン分泌リズムを作っているのかを生化学的に検討した。
ヒヨコ松果体細胞を還流培養し、メラトニン上昇時に種々の薬物を添加したところ、以前に見られたプロテインキナーゼAの阻害剤と細胞内、および細胞外Caキレート剤のみメラトニンの上昇を阻止した。これらのことから、時計のリズムがメラトニン合成へ伝達される過程に、cAMPとCaが関与している可能性が示唆された。さらに、タプシガルジンやダントロレンなどが夜間のメラトニン上昇を抑制しなかったことから、Caの関与は細胞外からの流入にあると推測された。次に、EGTAの濃度を変えて、培養液に添加したときのメラトニン分泌量と培養液中のcAMPの濃度の相関を検討した結果、Caのキレート剤は両者を同時に抑制することが判明した。ヒヨコ松果体ではcAMPはメラトニン合成を促進することが以前から知られていることから、今回の結果と併せて推測すると、時計のシグナルはCaの流入を招き、これによってアデニルサイクラーゼが活性化し、cAMPを介してメラトニン合成を行っていると推測された。現在どのタイプのアデニレートサイクラーゼが存在するのかのクローニングを行っている。
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