1)抹消血単核細胞からの樹状細胞の誘導と培養技術の確立 本研究ではイヌでの樹状細胞の誘導と培養技術を確立する必要がある。まず樹状細胞の誘導と培養に必要な条件について検討した。その結果、ヒトで樹状細胞の誘導に用いられているGM-CSF添加した培養条件では、犬の樹状細胞を誘導することができなかった。そこで種々のマイトージェンを添加して条件を検索したところ、PHAを添加することで十分な数の樹状細胞を誘導することができた。誘導した樹状細胞は形態的にマクロファージ様であり、エステラーゼ強陽性で貪食能をもっていた。表面抗原の解析ではCD11など単球型の表現型を示し、さらに抗原提示に重要なMHC classII分子を強力に発現してしていた。この樹状細胞は実験的に腫瘍細胞と共培養するだけで腫瘍細胞を取り込むことが明らかとなり、この成果から臨床的に応用可能な数の樹状細胞を犬の末梢血から簡便に誘導する技術が確立された。 2)IL-12による末梢血単球の活性酸素産生増強作用 本研究では臨床的な有用な癌免疫療法の応用をめざしている。そこで癌免疫を増強するアジュバンドについて検索をおこなった。その結果、ヒトリコンビナントIL-12をin vitroで末梢血単核球に作用させると末梢血単核球のうち特に単球からの活性酸素の産生が増強されることを見いだした。このIL-12による活性酸素産生の誘導はこれまでしられていない新しい作用であり、IL-12の生理作用や抗腫瘍効果の発現機序についての新しい知見がえられた。
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