研究概要 |
1,NK関連遺伝子のクローンニング CD56は、ヒトにおいてNK細胞の特異的表面抗原であるため、イヌのCD56遺伝子をクローニングし、その性状を解析することを目的に実験を行った。イヌ末梢血リンパ球をレクチンにて刺激した後、RNeasy Kit(キアゲン社)を用いてmRNAを抽出し、RT-PCR法によりcDNAを合成した。それを用いてCD56遺伝子の部分塩基配列を解読し(未発表)、さらに5',3'RACE法を用いて全長の解析を進めている。 2,既存の抗体を用いたNK分画の同定 ヒトもしくはマウスにおいて、肝臓にNK細胞が多く存在することが知られているため、健常犬の肝臓を腹腔鏡を用いて採材した後、肝臓内リンパ球を精製し、その表面抗原について解析をおこなった。その結果、CD3陰性CD21陰性(DN)リンパ球が肝臓内リンパ球の40%前後を占めていることを明らかにした(論文発表済み)。また、末梢血においては、DNリンパ球は3%前後、リンパ節においてはほとんど認められなかった。現在、その分画の細胞を分集して、NK活性および形態学的特徴について解析を進めている。また、抗ヒトCD56抗体(Leu-19、MY31、NKH-1)がイヌのCD56を認識したが、イヌにおいはDN細胞上には発現しておらず、CD3陽性CD4陽性T細胞もしくはCD3陽性CD8陽性T細胞上にのみ発現していることを明らかにし、ヒトとは異なりCD56はイヌのNK細胞上には存在しないことが示唆された(論文発表済み)。 3,NK活性の測定 イヌのNK標的細胞として使用を計画していたCL-1株では論文で報告されているほどの細胞傷害性が得られなかったために、別の細胞株(CTAC株)を入手し、イヌのNK活性測定系を確立した。
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