研究概要 |
(1)イヌのNK活性測定系の確立:96穴平底プレートの各wellにCTAC株を10^4付着させ、NK細胞を含むエフェクターをE/T比10〜100になるように加えた。14時間後に浮遊している細胞を除去し、細胞内脱水素酵素を利用した高感度水溶性ホルマザン生成法を用いて、細胞活性を計測し、NK活性を測定した。 (2)イヌのNK関連遺伝子のクローンニング:本学付属家畜病院に来院したlarge granular lymphocytosisと診断された犬の末梢血単核細胞から,TRIZOL(インビトロゲン社)を用いてmRNAを抽出した。ヒト,サル,およびマウスのCD94遺伝子間で相同性の高い部位よりprimerを設計し,GeneRacer kit(インビトロゲン社)を用いたRT-PCR法によりcDNAを合成した。現在までに、犬CD94遺伝子の一部(430塩基)が解読できている。引き続き全長のクローニングを行なっている。 (3)NK細胞分画の同定:健康なビーグル犬より腹腔鏡を用いて、肝組織約200mgを採材した。コラゲナーゼを用いて肝組織を解した後、比重遠心法により肝臓内リンパ球を採取した。メイギムザ染色により、肝臓内リンパ球の約30%が好酸性細胞質内顆粒を有し、LGL様を呈していた。また、flow-cytometryにより、肝臓内リンパ球の約40%がCD45陽性CD3陰性CD21陰性細胞であり、約50%がCD45陽性CD4陰性CD8陰性細胞であった。現在、肝臓内リンパ球を用いてNK活性を測定し、NK細胞がCD45陽性CD3陰性CD21陰性分画に属するかについて検討している。 (4)イヌのリンパ球に対する新規モノクローナル抗体の作成:イヌのリンパ球をBALB/Cマウスに免疫し,常法に従い、イヌのリンパ球表面抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを12株作成した。現在、flow-cytometryを用いて、リンパ球での発現を解析するとともに、western blottingを用いて認識する分子の性状について解析を行なっている。
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