研究概要 |
ダイオキシン感受性の異なる数種の哺乳類個体から分離したダイオキシン受容体(アリルハイドロカーボン受容体(AhR))遺伝子を同一のin vitroレポーターシステムに導入することにより、動物種ごとにAhR活性を測定し、動物種ごとに大きく異なる半数致死量(LD_<50>)の違いを説明できるか検討した。3-メチルコラントレン(3MC)を用いた結果から、感受性の著しく異なるとされるマウスの2系統、C57BL/6JおよびDBA/2のAhR活性(ベンチマークドーズ:AhR-BMD)はそれぞれ601pMと3,905pMとなり、報告されているLD_<50>の182ugTCDD/kgおよび2,570ugTCDD/kgと相関を示した。さらにウサギ(LD_<50>:115ugTCDD/kg)のAhR-BMDは530pMと測定され、マウスの2系統のデータと比較するとLD_<50>はAhRの活性にほぼ相関するものと言える。しかしながら、最も感受性の高いモルモット(LD_<50>:2ugTCDD/kg)のAhR-BMDは776,336pMであり、AhR活性と消耗症候群による死亡の感受性は説明しえないと思われた。また、ヒトのAhR-BMDは12,536pMであった。現在、さらに他の動物種のAhRcDNAクローニングを進めデータの更なる収集を行っている。 本年度は研究計画調書の平成14年度目標(1)AhR cDNA収集とクローニング(Zoo-Cloning)、(2)発現ベクターへの挿入、(3)レポーターアッセイシステムの構築を行ったわけだが、目的の80パーセントは完了したと言える。
|