研究概要 |
本年度の研究実績 1.Mgが高度好塩菌Halobacterium salinarum由来nucleoside diphosphate kinase(HsNDK)のフォールデイングに与える影響 前年度の研究でHsNDKのフォールディングに対する塩の役割は二面性があり、低濃度ではタンパク表面の負荷のシールドを高濃度ではさらに疎水性の相互作用を強化するということを実験的に示した。本年度はさらにさまざまな物質でのフォールディングを行いメカニズムを調べた。硫酸アンモニウムや硫酸マグネシウムは濃度を増加させるとフォールディングの効率が増し、塩化ナトリウムや塩化カリウムよりも低い濃度でHsNDKをフォールディングさせた。この事は,SO_4を持っているこれらの塩はNaClよりもより強いsalting-out効果を持っていることを示している。また、MgSO_4は濃度が高くなるにつれて、フォールディング効率が増加したが、MgCl_2は1Mで最高に達し、それ以上の濃度になると減少した。この事はMgCl_2の濃度が増加すると、charge shieldingもしくはion binding効果によりリフォールディングの効果が上昇するが、MgCl_2はsarting-inの効果を持っているので、濃度が上昇すると、タンパク質の疎水的な相互作用を弱め、不安定化し、結果として正の効果と負の効果の差し引きにより、この様なベル型の効率を示すのだと推察された。 2.HsNDKへの変異導入 HsNDKに変異を入れ、好塩性のメカニズムを調べる為に大腸菌による発現系の構築を行った。前年度までの研究でダイレクトにHsNDKを発現させると培地1リットル当たり0.5mgと少量である事がわかっているので、本年度はNDKの前にHis-tagを付加したものを構築した。発現量は培地1リットル当たり30mgとなり、ダイレクトに発現きせたものより約60倍発現量がアップした。この事により今後変異が入ったHsNDKをATPカラムやNiカラム等により大量かつ容易に精製する事が可能になり、好塩性のメカニズムの解明が期待出来る。
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