我々は、平成14年度の研究計画に従い実験を行い、次の結果を得たので報告する。 卵成熟過程と胚発生の各時期におけるアフリカツメガエルenhancer of zeste(E(z))ホモローグの発現の消長を、RT-PCR法により追跡した。その結果、ツメガエルE(z)ホモローグmRNAは母性因子とてDumont stage Iの卵から同stage VIの卵まで卵成熟過程の全ての時期にその存在が認められた。また初期胚においては、受精後から中期胞胚変移期までは、徐々にツメガエルE(z)ホモローグmRNA量は減少するが、中期胞胚変移期以降、接合子自らツメガエルE(z)ホモローグ遺伝子の転写を開始するため、ツメガエルE(z)ホモローグmRNA量は漸増していた。次にwhole mount in situ hybridization法により、ツメガエル胚における詳細な発現部位の検索を行ったところ、原腸胚においては外胚葉由来の組織にのみ発現がみられ、また神経胚では、予定眼胞領域および神経管に強い陽性反応が認められた。更にステージが進み、尾芽胚では前脳、鰓弓や眼胞などの頭部の器官にツメガエルE(z)ホモローグ遺伝子の発現が強く認められた。現在、マイクロインジェクション法を用いて、センス及びアンチセンスRNAあるいはモルフォリーノoligo DNAを受精卵に注入することにより、胚の表現型にどのような変化がみられるかを調べることによりツメガエルE(z)ホモローグの形態形成における役割を解明する。
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