研究概要 |
平成15年度の研究計画に沿って実験を行った。 Polycomb蛋白質群は、Hox遺伝子群の転写を負に調節をしていることが知られている。whole mount in situ hybridization法を用いて、胚発生の各ステージにおけるEnx-α遺伝子の発現様式を調べたところ、homeotic遺伝子の一つであるotx2遺伝子の発現様式と酷似していることが分かった。我々は、Enx-α蛋白質がotx2遺伝子の転写調節を行っているかどうかを調べるために、マイクロイクロインジェクション法にて、Enx-αmRNAとoligoDNAをアフリカツメガエル受精卵に注入した。インジェクション後の胚をインキュベーションして各ステージの胚を採取し、otx2遺伝子の発現をRT-PCR法にて調べたところ、oligoDNA注入胚でotx2遺伝子の発現量は増加し、一方Enx-αmRNA注入胚ではotx2遺伝子の発現量は減少していることが明らかになった。このことからotx2遺伝子はEnx-α遺伝子の下流に存在することが明らかになった。次に我々は、Enx-α蛋白質が直接,otx2遺伝子の転写制御をしているかどうかを調べるために、ホルムアルデヒドを用いてアフリカツメガエルEnx-α蛋白質と標的遺伝子の転写調節領域を架橋・固定し、作製済みのポリクローナル抗体を用いて、DNA-蛋白質複合体を免疫沈降した。このDNA-蛋白質複合体をDNAと蛋白質に分離し、得られたDNA断片をotx2特異的プライマーを用いてPCRにより増幅した。その結果、otx2遺伝子断片の特異的増幅が認められたので、in vivoにおいてEnx-α蛋白質がotx2遺伝子の発現調節領域に結合していることが明らかとなった。これらの実験結果を基に、現在、論文投稿準備中である。
|