本年度はYeast Two Hybrid法によるL型カルシウムチャネルのα1cサブユニットに結合する新たな分子の探索を行った。まずL型カルシウムチャネルのα1cサブユニットの細胞質側に相当するI-II linker、II-III linker、C末部位より適当な扉列を選び、Baitを設定してbindingドメインを含むvectorを作成し、Yeastにトランスフォーメーションした。それらを用いて、activationドメインを含むvectorに挿入されたヒト心筋ライブラリーをスクリーニングした。そのうちII-III linkerの一部をBaitとしたvectorを用いた最も酵母の生育条件の厳しいスクリーニング法(high stringency)において、13個の陽性colonyを検出した。特にYeastの生育が著明な2個のcolonyをピックアップしてライブラリー由来のプラスミドDNAを回収し、シークエンスを解析したところ一つはJun activation domain binding protein (JAB)であり、もう一つはdehydrogenaseであった。現在はJABに焦点をあてて研究を進めている。RT-PCR法によるとJABは心筋にはかなり多く発現しているが、心筋以外の組織にも比較的発現が多く、比較的ubiquitousな分子と考えられた。L型カルシウムチャネルのα1cサブユニットの機能に対する影響を観察するために、現在JAB遺伝子を発現ベクターに入れて、過剰発現させる系と、内因性のJABをsiRMAを用いてノックダウンさせる系の二つの実験系を用いて、カルシウム電流への作用の解析を行っているところである。
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