研究概要 |
リンパ球を重力変動負荷するとCD69およびCD25分子の発現レベルが変動することより、さらに網羅的に細胞表面フェノタイプの変化について解析した。抹消血リンパ球細胞を震盪装置にてメカニカルストレス負荷し、14時間後に蛍光抗体法によりフローサイトメトリー解析した。この結果さらに、ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクティベーター受容体(uPAR)の発現量が減少することが示された。この変化はB細胞およびT細胞の両方に認められた。uPARはリンパ球を初めとしてさまざまな細胞で活性化シグナルと関連していることが報告されていることから、メカニカルストレスによる発現量の減少は新たなメカノシグナル感受機構の解明につながることが予想される。 培養ヒト細胞にメカニカルストレス負荷し、細胞内における分子の動態をWestern blot法にて解析したところ、p53分子の核内移行がメカニカルストレス負荷により誘導されることが示された。さらに、p38分子のリン酸化が誘導されることが示された。また、c-Junのリン酸化も誘導されることが示された。この結果、メカニカルストレスによる重力感受シグナルの一部はMAPキナーゼ経路をとることが示唆された。また、MAPキナーゼの上流に重力感受機構が存在する可能性が示唆された。現在、さらにチロシンリン酸化の変化を解析しており、メカニカルストレス負荷により特異的にリン酸化される約130kDaのタンパク質分子を見出しており,このタンパク質分子について解析を進めている。
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