研究概要 |
プラゾシンはα1アドレナリン受容体の選択的拮抗薬として用いられている。[^3H]-プラゾシンはα1アドレナリン受容体の検出に用いられる標識化合物の一種である。これまで[^3H]-プラゾシンを用いてヒトの各組織を用いてα1アドレナリン受容体の分布・機能を調べる過程においてヒトの腎臓にα1アドレナリン受容体とは異なる性質を持つプラゾシン高親和性タンパク質が存在することを発見した。ヒトの腎臓より調整した膜画分と^<125>I-プラゾシンを用いたphotoaffinity labeling実験によりこのタンパグ質は分子量が約100kDaであった。同様にしてα1アドレナリン受容体の各サブタイプの分子量を決定したところα1aは約65kDa、α1bおよびα1dは約80kDaであり、我々が見つけたタンパク質が既知のα1アドレナリン受容体とは異なるタンパク質であることを示している。この新規プラゾシン結合タンパク質の精製を試みた。ヒト腎臓10gを100ml 50mM Tris-HCl buffer (pH7.4)中でホモジナイズし、200000xgで,2時間遠心分離して得られた上清を硫安沈殿、その後ゲルろ過、イオン交換樹脂などのカラムを用いて精製した。最終精製には特異的リガンドをカラム担体に結合させたアフィニティーカラムクロマトグラフィーにて精製した。その結果、このタンパク質はSDS-PAGE上で約100kDaのバンドとして精製された。得られた精製タンパク質を解析したところ、このタンパク質はヒトのDiamineoxdase活性を持つアミロライド結合タンパク質(ABP)であった。ヒト腎臓の粗精製画分を用いてDiamineoxdase活性に対するプラゾシンの影響を検討したところpIC50は6.8であり、Diamineoxydaseの阻害薬であるphenamilのpIC50は6.0であった。この結果はヒトABPがプラゾシンに対して感受性を持つことを示している。現在、さらなる解析を行っている。
|