1.Quercetin誘導体の脂質過酸化抑制効果の検討 quercetinによる抗酸化能発現機序としては、直接に活性酸素・フリーラジカルを消去する系が考えられているが、近年鉄イオンの不活性化も関与している可能性が示唆されている。そこで3価鉄-NTA錯体を用い、quercetin誘導体による脂質過酸化抑制効果を卵黄レシチンリポソームを用いて検討した。その結果、quercetinは鉄イオンと錯体を形成すると共に、脂質過酸化を強力に抑制することを見出した。また、quercetin誘導体であるquercetin-3-0-glucoseはquercetinよりも強力に脂質過酸化を抑制することを見出した。 2.Quercetinと活性窒素種の相互作用 酸性条件下亜硝酸はnitrosonium cation(NO^+)を生成し、これが生体高分子に対するnitoroso化の原因になると考えられている。そこでquercetinと亜硝酸の相互作用を電子スピン共鳴(EPR)法検討した。その結果、酸性条件下(pH2-4)で亜硝酸単独でも一部ガス状一酸化窒素(NO^・)の生成は観察されたが、quercetinが共存することにより亜硝酸からのNO^・産生が大幅に促進される事が見出された。 ところでtyrosineは亜硝酸・酸性条件下でnitrotyrosineを生成することが知られている。そこでnitrotyrosine生成に対するquercetinの抑制作用について検討した。その結果、quercetinは[nitrite]<[quercetin]の場合nitrotyrosine生成をほぼ完全に抑制するのに対し、[nitrite]>[quercetin]の条件では逆にnitrotyrosineの生成を促進した。
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