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2002 年度 実績報告書

Wntシグナルの抑制因子ICATを利用した新規Wnt標的遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 14770042
研究機関東京大学

研究代表者

中村 勉  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30302798)

キーワードWnt / TGF-β / BAMBI / 癌 / 大腸癌 / 肝癌 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子
研究概要

私たちは、ICATのWntシグナル抑制作用を利用して、新たなWnt標的遺伝子の候補としてTGF-βシグナルのアンタゴニストであるBAMBIを同定した。本研究では、BAMBIがWntの標的遺伝子であることを実証するために、種々の解析を行った。
1.BAMBIの発現が、mRNAレベルおよびタンパク質レベルともに、ICATおよびドミナントネガティブTCF4によって抑制され、β-cateninによって活性化された。
2.BAMBIの転写開始点を決定し、第1エキソン近傍のゲノム断片を単離した。さらに、β-cateninによってBAMBIのプロモータ活性が上昇し、その活性化には第1イントロンが重要であることを見出した。第1イントロンにはTCF結合のコンセンサス配列が5か所存在し、そのいずれにもTCF4が直接結合することを確認した。
3.外科的に摘出された大腸癌もしくは肝癌組織、およびその近傍の正常組織におけるBAMBIの発現量を比較した。その結果、大腸癌では18例中12例(67%)、肝癌では5例中3例(60%)という高い頻度で、腫瘍組織でBAMBIの発現が亢進していることを見出した。さらに大腸癌組織の免疫組織染色の結果からも、大腸癌組織におけるBAMBIの発現亢進が明らかにした。
4.BAMBIの発現により、TGF-β依存性の増殖抑制が阻害されることを示した。
これらの結果から、BAMBIがβ-catenin/TCF4によって発現誘導されるWnt標的遺伝子であることが示された。さらに、Wntシグナルの異常な活性化によってBAMBIの発現亢進が起こり、そのためTGF-β依存性の増殖抑制ができなくなることが、大腸癌や肝癌の発生・進展に関与している可能性が示された。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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