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転写抑制因子Bach2は、癌遺伝子AP-1関連因子であり、Bリンパ球および神経細胞に限局した発現を示す。申請者は、B細胞特異的転写因子Bach2の機能を解析するために、レトロウィルスによる過剰発現系を樹立した。この系で作製したBach2発現レトロウィルスをB細胞株に感染させて、本来発現が検出される細胞内環境に近い形でBach2の生理的機能を解析した。その結果B細胞においても、Bach2が細胞増殖を抑制的に調節すること、および酸化ストレス刺激に応答してアポトーシスを誘導することを見いだした。これは以前に繊維芽細胞にBach2発現レトロウィルスを感染して行った実験から得られた結果と同様であり、Bach2の機能として重要であると考えられる。
従ってBach2は、B細胞の分化調節に加えて増殖や分化過程における細胞死にも関与していることが予想される。これらの結果を踏まえて、Bach2の生体内における機能を解明する目的でBach2ノックアウトマウスを作製した。現在Bach2ノックアウトマウスにおいて以下の点を検討中である。
1)造血細胞分化異常の解析。
2)B細胞特異的遺伝子転写調節における異常の解析。
3)B細胞刺激およびアポトーシス刺激におけるBach2の役割の検討。
既に各項目を検討するシステムの構築を終え、実際にBach2ノックアウトマウスを用いた解析を行っており、Bach2のB細胞分化調節における役割を明らかにしつつある。
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