• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

遺伝子ターゲティングによる糖尿病血管合併症の原因・治療の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14770058
研究機関金沢大学

研究代表者

山本 靖彦  金沢大学, 医学系研究科, 助手 (20313637)

キーワード糖尿病 / 合併症 / 血管障害 / 後期糖化反応生成物(AGE) / レセプター / RAGE / ノックアウトマウス
研究概要

山本らは、糖尿病状態で促進的に形成される後期糖化反応生成物(advanced glycation endproducts、以下AGE)が、AGE特異受容体(receptor for AGE、以下RAGE)を介して、糖尿病に特徴的な血管細胞変化を来すことを見い出した。また、RAGEを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製して糖尿病を誘発すると、腎症の発症・進展が加速されることを証明した(J.Clin.Invest.2001)。したがって、AGE-RAGE系は糖尿病血管合併症克服のための分子標的候補と考えられ、RAGE遺伝子の制御によって糖尿病血管合併症は抑制可能と推定された。
本研究では、将来的にRAGEをターゲットとした遺伝子治療を目指し、糖尿病血管合併症の新しい予防・治療原理を導くことを目的とする。本年度は前年度までに作製したRAGE欠損マウスに糖尿病を誘発し、その糖尿病血管合併症の進展の程度を解析することで以下の結果を得た。
1.前年度までに作製した全身型RAGE欠損マウス(以下RAGE(-/-))に糖尿病を誘発するため、インスリン依存型糖尿病を遺伝的に発症するトランスジェニックマウス(J.Biol.Chem.1998)と交配した。具体的にはまず、糖尿病発症RAGE(+/-)を作製し、続いてそのマウスとRAGE(+/-)とを掛け合わせることで糖尿病発症あるいは非発症のRAGE(+/+)、RAGE(+/-)、RAGE(-/-)の計6群を得た。各群において以下の解析を行った。
2.糖尿病発症群において血糖、HbA1cは非発症群に比べて有意に高値を示したが、糖尿病発症群間においては差がなかった。血中AGE値も糖尿病発症群間で差を認めなかった。
3.糖尿病腎症の解析を行った結果、糖尿病発症RAGE(-/-)は、糖尿病発症RAGE(+/+)と比べて腎腫大、尿中アルブミン排泄、組織学的な糸球体肥大、糸球体硬化病変、さらに血清クレアチニン値の上昇のすべての指標において有意な抑制を示した。その抑制効果はRAGE遺伝子の発現低下レベルと相関していた。
以上の結果から、RAGEの抑制により糖尿病血管合併症、殊に腎症の発症・進展が防止されうることが明らかとなり、今後、RAGEをターゲットとした糖尿病血管合併症の予防・治療法の有用性が確信されるに至った。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Yamamoto, Y.: "Nurture vs. nature in diabetic vasculopathy : roles of advanced glycation endproducts and the receptor for them."International Congress Series (03427). In press. (2004)

  • [文献書誌] Miura, J.: "AGE downregulation of monocyte expression of RAGE mRNA and its association with diabetic complications in type 1 diabetes."J. Diabetes Complication. 18・1. 53-60 (2004)

  • [文献書誌] Sakurai, S.: "The AGE-RAGE system and diabetic nephropathy."J.Am.Soc.Nephrol.. 14(suppl.3). S259-S263 (2003)

  • [文献書誌] Ohashi, S.: "Advanced glycation end products increase collagen-specific chaperone protein in mouse diabetic nephropathy."J.Biol.Chem.. In press. (2004)

  • [文献書誌] Li, H.: "Possible participation of p1Cln in the regulation of angiogenesis through alternative splicing of VEGF receptor mRNAs."Endothelium. IN press. (2004)

  • [文献書誌] 山本 靖彦: "AGE-RAGE系と糖尿病血管合併症"生化学. 75・9. 1230-1233 (2003)

  • [文献書誌] 渡辺 琢夫: "糖尿病血管合併症の分子機構-AGE-RAGE系を中心にして-"生化学. 75・10. 1361-1370 (2003)

  • [文献書誌] 山本 靖彦: "内科キーワード2003、代謝、AGE/RAGE"内科. 91・6. 1419-1420 (2003)

  • [文献書誌] 山本 靖彦: "医学のための基礎医学分子細胞生物学/コレステロールとリポタンパク質"南山堂. (2003)

  • [文献書誌] 山本 靖彦: "医学大辞典、分担執筆"医学書院. (104, 2292, 2302) (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi