研究概要 |
腎腫瘍において現在の分類では悪性腫瘍においてはconventional RCC, papillary RCC, chromophobe RCC, collecting duct carcinomaの分類されており、良性腫瘍においてはpapillary adenoma, metanephric adenoma, oncocytomaに分類されている。Papillary RCCではtype1とtype2の分類されており、c-metの遺伝子異常やchromosome 7,17などの染色体異常の頻度、予後の違いが報告されており、これらについて概説した(Histol Histopathol 2003;18:487-494)。Chromophobe RCCは電子顕微鏡的には細胞質内に微小な空胞様の構造をもち、少染色体数を特徴とする疾患で、この腫瘍を概説した(Histol Histopathol 2003;18:165-171)。Collecting duct carcinomaは髄質に発生し、多彩な組織像を特徴とする予後不良な疾患群であり、これについて概説した(Histol Histopathol 2002;17:1329-1334)。Sarcomatoid carcinomaは上記の悪性腫瘍に由来し、形態学的に間葉系腫瘍の表現型を示す部位が主体を示す腫瘍で、悪性度の高い疾患群で、これについて概説した(Histol Histopathol 2003;18:551-555)。Metanephric adenomaは腫瘍細胞が腺房様ないしは乳頭状に増殖する腫瘍で、2pに異常をきたす疾患であり、これについて概説した(Histol Histopathol 2003;18:253-257)。Oncocytomaは電子顕微鏡的に細胞質内にミトコドリアを多数含む、ミトコンドリアDNAの異常をきたす疾患として知られ、これについて概説した(Histol Histopathol, in press)。 Conventional RCCについてはchrmosome 3pの領域において3-4領域におけるLOHが示唆されていたが、我々はVHLおよびFHIT遺伝子座を含む3p14.2-25に及ぶ領域が連続的に欠失していることを証明し、papillary RCCやchromophobe RCCに比較し、その頻度が圧倒的に高いことを証明した(Cancer Res 2003;63:455-457)。 現在、CD57の発現を免疫組織学的に検討中である。
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