研究概要 |
HER2/neuの全アミノ酸配列をもとに、日本人に多く認められるアリルHLA-DR9に結合するペプチドのモチーフから、推定される14-merのエピトープペプチドを12種類作成した。3名のHLA-DR9を有する健常者から末梢血単核球(PBMC)を分離し、それらと各ペプチドを1μg/mlになるように混合して培養した。1週おきに同一ペプチドと放射線照射したPBMCで刺激を3〜4回繰り返した。2名のドナーから混合ペプチドに反応する2つのT細胞ラインが得られた。細胞表面マーカーはいずれもCD3陽性、CD4陽性、CD8陰性のヘルパーT細胞ラインであった。更に詳細なエピトープを同定するために単一ペプチドをT細胞と培養し増殖反応を検討した。T細胞ラインTOでは、HER2/neuP410-423,HER2/neup1182-1221に強く反応し、ラインHKではHER2/neupp107-120,HER2/neup549-562に反応が強く認められた。サイトカインの分泌パターンはペプチドに対して、それぞれIFN-γ,GM-CSFを大量に産生しIL-4はそれより少なくTH1タイプのヘルパーT細胞ラインと考えられた。これらバルクのT細胞ラインから現在T細胞クローンの樹立を試みている。限界希釈法により有効な2つのクローンを樹立できた。いずれもCD3陽性、CD4陽性、CD8陰性のヘルパーT細胞で、今後拘束分子、責任抗原部位の解析を進めていく予定である。
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