1.樹状細胞の特性の解析:骨髄細胞よりGM-CSFで分化させた樹状細胞(BM-DC)の、特に成熟化に関して解析を行った結果、LPSで刺激したBM-DCは一時的に成熟化してCD80やCD86の強発現を起こすが、それらはすぐにdown regulationを起こし、不活性型となることが判明した。LPSと同様の反応は外来病原体由来ではなくとも、壊死した細胞成分でも誘導でき、腫瘍周囲組織でもDCの不活性化が起こっている可能性が示唆される。また、TGFβ存在下でBM-DCの成熟化実験を行ったが、特に目立った影響は見られなかったため、こちらの関与は薄いと思われる。脾細胞からのlong term culture DCは回収効率が悪く、実験に使用できるものではなかった。 2.TGFβおよびTGFR-IgとT細胞活性化の関わり:NP366-374特異的TCRトランスジェニックマウスのT細胞と、成熟DCを抗原ペプチド存在下で培養し、TGFβやTGFR-Igを加えて増殖反応試験を行った。TGFβを添加した場合、コントロールやTGFR-Ig添加群に比べて有意に増殖反応を阻害したが、TGFR-Ig添加の場合はコントロールと有意な差は認められなかった。TGFR-Ig存在下で培養したT細胞の培養上清を他の増殖反応に加えても、増殖の阻害や促進は認められなかった。従って、TGFR-Ig自体は液性因子の調節をしていないことが判明した。
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