1.樹状細胞による抗原特異的CTL誘導能の解析:骨髄細胞よりGM-CSFで分化させた樹状細胞(BM-DC)は抗CD40抗体刺激により活性化/成熟化が持続する事が判明した。BM-DCを用いてin vivoで抗原特異的なCTLを誘導できるかをマウスモデルで解析したところ、不活性化/脱成熟化したBM-DCのみならずLPS刺激直後の一時的活性化BM-DCもCTLを誘導する事が出来なかったが、抗CD40抗体により活性化が持続したBM-DCによる免疫ではCTLを効果的に誘導する事が判明した。実験はOVA蛋白を用いたクロスプレゼンテーションの系で行っており、CD40シグナルによるCTL誘導の優位性が実証された。 2.活性型TGFβ産生の解析:腫瘍を移植したマウス血清中には活性型TGFβを有意に検出できるが、in vitroでは腫瘍細胞(E.G7)が産生/転換する活性型TGFβは検出感度以下であった。ところが抗原提示細胞については、骨髄樹状細胞および腹腔マクロファージをLPSで活性化したところ、いずれも活性化後6時間で細胞百万個あたり50pg程度の活性型TGFβが検出された。これらの結果から、腫瘍細胞は直接TGFβを活性型へ転換しておらず、樹状細胞およびマクロファージを一過性に活性化する事により活性型TGFβを誘導することが示唆された。
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