今年も血管壁、特に動脈硬化病変におけるヒスタミンのネットワークについてさらに検討した。 1 これまでヒト単球細胞がヒスタミンレセプターH2及びH1を発現し、H2優位であること、マクロファージに分化するとHDC及びH1発現優位になることを見い出した。そこで、組織球分化因子であるマクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)がヒスタミン合成酵素(HDC)とレセプターの遺伝子発現に関与しているか否かを調べた。其の結果、GM-CSFはヒスタミン産生、HDCmRNAの発現を増加させること、この転写活性はFos/Junの共発現でさらに増加した。 2 ヒスタミンは血管内皮細胞からeNOSの発現を増強する。他方、平滑筋細胞にはH1の発現があり、iNOSが存在することが知られており、ヒスタミンによる平滑筋細胞におけるiNOS発現のメカニズムを検討した。この結果、iNOSは平滑筋細胞においてヒスタミン依存性に転写活性が増強し、NF-kBがそれに関与していた。従って、ヒスタミンによる平滑筋細胞のiNOS転写増強にはH1からNF-kBへいたる伝達経路が存在することが示唆された。 以上の結果は一つは投稿中、一つは投稿準備中である。
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