研究概要 |
IL-12受容体と相同性を持つWSX-1(TCCR),は、タイプIサイトカイン受容体ファミリーに属し、IL-27がそのリガンドの一つであることが判明した。我々は既にWSX-1^<-/->マウスのLeishmania majorに対する感染抵抗性がWSX-1^<+/->マウスや野生型マウスに比べて減弱していることを示した。また、WSX-1分子が感染早期のT細胞によるIFN-γ産生およびTh1反応の誘導、Th2反応の抑制に重要な役割を果たす一方、感染後期のT細胞によるIFN-γ産生には関与しないことを示した。今回はCD4^+T細胞に加えてCD8^+T細胞も重要な役割を果たすTrypa npsoma cruzi感染においてWSX-1分子の役割を解析した。WSX-1^<-/->マウスは非致死量のT.cruziの感染で死亡し、原虫血症、血清肝酵素ともに野生型に比べて有意な上昇を示した。感染2週目のWSX-1^<-/->CD4^+T細胞、CD8^+T細胞によるIFN-γの発現・産生は野生型と同レベルで、Th2サイトカインの発現・産生は野生型より高い値を示した。炎症性サイトカインの血中濃度も上昇していた。以上より、WSX-1分子はL.major感染時と同様にT.cruzi感染においてもTh2分化の抑制に重要な役割を果たし、感染防御に不可欠の分子であることが明らかとなった。更に過度の免疫応答誘導を抑制していることも示された。WSX-1^<-/->マウスにおいてT.cruzi感染初期にIL-4に対する抗体を投与すると、原虫血症は抑制されたが、肝障害は改善されなかった。この際、免疫応答はTh1方向に分化し、炎症性サイトカインの血中濃度は高値を示したまま変化しなかった。以上より、WSX-1分子はTh1反応の誘導、Th2反応の抑制に加えて、過度の炎症抑制に働いていることが示唆された。
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