研究実績の概要は以下のとおり. 研究課題のコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)の粘膜免疫アジュバント活性機構に関する研究において、平成14年度は、rCTB、コレラトキシン(CT)、アルミニウムの粘膜に対するアジュバント最適量の比較、rCTBアジュバントのマウスストレインによる比較、粘膜免疫誘導部位である腸管隣接リンパ組織からの細胞調整法の確立、抗原刺激細胞のサイトカインアッセイを行った。各アジュバントをジフテリアトキソイドと共に経鼻ないし皮下投与し、抗ジフテリア抗体測定してアジュバント量を調べた結果、各アジュバント、量をrCTB:10μg(経鼻)、CT100ng(経鼻)、アルミニウム2.5μg(皮下)とすると平均0.2-0.4u/mlの抗ジフテリア抗体が得られることが解った。 BALB/c、C57BL/6、C3H/HeNの3系を使用し、rCTB:10μg(経鼻)でジフテリアトキソイドと共に免疫した結果、抗ジフテリア抗体の産生(平均0.2-0.4u/ml)に大きな差は認められなかった。 粘膜免疫誘導部位である腸管隣接リンパ組織からの細胞調整法の確立、抗原刺激細胞のサイトカインアッセイのため、まず、マウス脾臓ないし腸管よりT細胞分離の系を確立し、FACSで細胞の分離状況を確認した。Percoll比重遠心法やナイロンウールカラムを組み合わせて細胞を分離した結果、ほぼ100%に近いT cellを分離することが出来た。この方法により、分取した細胞をジフテリアトキソイド、rCTBと共に刺激し、サイトカイン産生を測定した。IL-4、IL-5はあまり変化が見られなかったが、rCTBの添加でIFN-gammaの産生が上昇した。 以上より、アジュバント量と抗原量を固定し、免疫担当細胞を効率良く分離されたことから、平成15年度は免疫担当細胞の解析(抗原特異的T細胞増殖反応、抗体産生細胞等)を主体として進める予定である。
|