研究概要 |
D型レトロウイルス(M-PMV)の出芽にはGagタンパク質に存在するPPxY配列が重要であり、エボラウイルスの出芽にはマトリクスタンパク質(VP40)に存在するPPxYおよびPTAP配列が重要であることが明らかになっている。私は、本研究でM-PMVのPPxY配列には新規に同定したユビキチンリガーゼであるBUL1が相互作用し、エボラウイルスのPPxYには同じくユビキチンリガーゼであるNedd4が宿主因子として相互作用し、ウイルス出芽を制御することを明らかにした(Yasuda et al.,2002,Yasuda et al.,投稿中)。BUL1、Nedd4は、ともにHECT型のE3ユビキチンリガーゼであり、WWドメインと呼ばれる領域を介してPPxY配列と相互作用することを明らかにした。 更に、WWドメインのみからなるBUL1あるいはNedd4の欠失型変異体が、dominant-negative変異体としてM-PMVあるいはエボラウイルスの粒子出芽を優位に抑制することも発見した。また、エボラウイルスの出芽にはNedd4のユビキチンリガーゼとしての活性が必須であることもわかった。PPxY配列はHTLV-1やRSVなどのレトロウイルスやEbola virus、VSVなど多<のウイルスに存在し、また、これと相互作用するWWドメインは、Nedd4様タンパク質間で良く保存されていることから、出芽抑制活性を持つ上記のdominant-negative変異体は、幅広いウイルス種に対する抗ウイルス剤としての効果が期待される。
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