1、成人T細胞白血病(ATL)細胞株よりmRNAを抽出し、これをもとにレトロウイルスベクターに組み込んだcDNAライブラリーを作製した。このライブラリーをパッケージング細胞に導入しレトロウイルスcDNAライブラリーを回収した。 2、ATLの発症に関わると考えられる癌遺伝子を得るため、上記ライブラリーをNIH3T3細胞に感染させフォーカス形成を示す細胞のクローンを複数得た。これらの細胞のゲノムDNAよりPCRによってcDNAを回収し、シークエンスを行ったところすべてN末端が欠失したRaf-1またはB-rafであった。これらの分子のATL発症における関与は今後解析予定である。 3、ATLの発症に関わると考えられるNF-κB活性化因子を同定するため、NF-κB活性化によりブラストシジン耐性遺伝子およびGFPの発現が誘導されるRat-1細胞を作製、上記ライブラリーを感染させた。ブラストシジン耐性かつGFP陽性Rat-1細胞のゲノムDNAよりPCRによってcDNAを回収し、シークエンスを行った。既知のNF-κB活性化因子を含む5種類のNF-κB活性化因子のcDNAが得られた。全長のシークエンスを行い変異に有無の確認を行うとともに、これらの分子が実際にATL細胞におけるNF-κB活性化に関与しているのかどうか、現在解析中である。
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