1、成人T細胞白血病(ATL)細胞株よりmRNAを抽出し、これをもとにレトロウイルスベクターに組み込んだcDNAライブラリーを作製した。このライブラリーをパッケージング細胞に導入しレトロウイルスcDNAライブラリーを作製した。 2、ATLの発症に関わると考えられるNF-κB活性化因子を同定するため、NF-κB活性化によりプラストシジン耐性遺伝子およびGFPの発現が誘導されるRat-1細胞ならびにT細胞株2B4を作製、上記ライブラリーを感染させた。ブラストシジン耐性かつGFP陽性細胞のゲノムDNAよりPCRによってcDNAを回収し、シークエンスを行った。既知のNF-κB活性化因子を含む5種類のNF-κB活性化因子のcDNAが得られた。 3、得られた遺伝子のひとつであるCD30は調べたかぎりすべてのATL細胞株で大量に発現していた。CD30は大量に発現するとリガンド非依存的にNF-κBを活性化することから、ATL細胞におけるNF-κB活性化に寄与している可能性が示唆された。 4、得られた遺伝子のひとつであるNIK(NF-κB inducing kinase)はすべてN末端が欠失したものであった。この欠失はライブラリー作製時に起こった人為的なものと考えられたが、この欠失型NIKは非常に強いNF-κB活性化を示すことから、NIKがATL細胞におけるNF-κB活性化に何らかの形で寄与している可能性が示唆された。
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