(1)マウスCD25^+CD4^+制御性T細胞によるT細胞抑制を中和するモノクローナル抗体のスクリーニングについて。 現在までにラット13匹に対して正常マウスより調製したCD25^+CD4^+T細胞(10^6-10^7)を週一回1ヶ月間免疫したのち、これらのラットのリンパ節、脾臓細胞をミエローマ細胞と細胞融合し約600個の独立したハイブリドーマを得た。しかし、試験管内でのCD25^+CD4^+T細胞の抑制機能を中和する抗体を産生するクローンの樹立には成功していない。 (2)CD25^+CD4^+制御性T細胞の自己反応性についての解析 正常マウスにおいてCD25^+CD4^+制御性T細胞が何を認識しているのかを正常マウス、また自己MHCに単一ペプチドを提示するトランスジェニックマウスを用いて解析を行った。CD25^+CD4^+制御性T細胞は自己抗原に対してCD25^-CD4^+T細胞よりも高反応性を示し、この自己抗原による活性化により弱い免疫反応を制御できることが明らかになった。また胸腺での選択抗原に対してCD25^-CD4^+T細胞よりも高反応性を示すことが明らかになった。これらの知見はCD25^+CD4^+制御性T細胞が生体内で自己抗原を常に認識し、自己反応性T細胞の活性化を抑制していることを示唆する。また、自家腫瘍に対する有効な腫瘍免疫の誘導を阻害していると考えられる。 (3)AIRE遺伝子のCD25^+CD4^+制御性T細胞の産生への関与について AIREプロモーターの下流にジフテリアトキシンレセプターを発現するトランスジェニックマウスを樹立した。しかし、いずれもレセプターを発現しなかったため、AIREプロモーターの下流にβガラクトシダーゼ遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウスを作製し、プロモーターの機能性について検討している。現在までに8ラインの親株候補を得た。今後これらのマウスを用いて解析する予定である。
|