研究概要 |
Th2細胞の分化・機能に関わる補助シグナル分子としてOX40/OX40L、ICOS/B7RP-1を候補に挙げ下記の研究結果を得た。 1.マウス骨髄細胞から誘導した樹状細胞(DC)および脾臓から調製したDCをマウスに免疫して誘導されるTh1/Th2反応系において、抗OX40L抗体投与やOX40L欠損マウス由来のDCを用いた結果、OX40/OX40Lは生体内のCD4^+T細胞-DC相互作用において初期のTh2細胞分化のみならずメモリーTh2細胞の機能発現にも重要に働く補助シグナル分子であることを明らかにした。これらOX40/OX40L結合阻害によるTh2細胞誘導の抑制効果は、脾臓DCではCD8α^+ DCよりもCD8α^-DCにおいて顕著な差が認められた。 2.C57BL/6マウスを用いたOVA吸入喘息モデル系においてTh2細胞の分化段階、機能段階に分けて抗OX40L抗体を投与した結果、ともに気道収縮抵抗、肺胞洗浄液中の好酸球数、Th2タイプサイトカイン産生の有意な低下が認められたことから、OX40/OX40LはTh2細胞誘導に働き喘息疾患発症に関与することが示唆された。一方でBALB/cマウスを用いた結果、Th2細胞の機能段階での抗OX40L抗体投与は効果を示さなかったことから、OX40/OX40Lはマウスの系統により機能の一部に相違があることも示唆された。 3.マウスへの羊赤血球免疫によるT細胞依存性抗体産生系において抗B7RP-1抗体を投与した結果、最近注目されるfollicular B helper T cellsとされるCXCR5^+ CD4^+ T細胞の脾臓局在の低下と比例して、胚中心形成不全とIgG抗体産,生抑制が認められた。この結果からICOS/B7RP-1はCXCR5^+CD4^+T細胞の分化や機能に働き胚中心形成と抗体産生に関わることが示唆された。
|