研究概要 |
昨年度、東京周辺に在住する約3000組の双生児に対して研究協力のため慶鷹義塾大学へ訪問を依頼し、訪問に同意した双生児に対して、日時を相談の上、来学してもらった。その際、本研究に関する説明をあらためて行った上で、文書で研究協力に同意した双生児に対して研究を実施した。被験者からは1人あたり約20mlの採血および卵性の判定などのための自己記入式質問票調査を実施した。採血した血液から、Helicobactor Pylori抗体価および血清Pepsinogen I, II濃度を測定した。測定に関しては臨床検査会社に委託した。約140組281人の血液サンプルが得られ、データを得ている。Helicobactor Pylori抗体価によるHelicobactor Pylori感染の疑いがあった者は281名中44名(15.7%)であった。Pepsinogen I抗体価は平均56.4、標準偏差19.9、中央値51.5で、Pepsinogen II抗体価は平均10.8、標準偏差8.1、中央値8.6であった。Pepsinogen I/II比は平均6.0、標準偏差1.8、中央値6.1であった。今年度はデータ解析を進め、まず、1卵性か2卵性かの判定を質問紙のデータを解析して行った。各卵性毎に双生児間のHelicobactor Pylori抗体価の相関係数を算出した。その結果、Helicobactor Pylori抗体価の相関は2卵性より1卵性で高かった。このことはHelicobactor Pylori抗体価の遺伝規定性を示唆するものである。さらに、遺伝モデルに基づくデータ解析を構造方程式モデルすなわち共分散構造分析を用いて行った結果、共有環境要因はほとんどHelicobactor Pylori抗体価にほとんど影響しないことがわかった。
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