【目的】わが国において寝たきりの予備群として注目されている「閉じこもり」高齢者に対して、無作為化比較試験による構造的ライフレビューを用いた心理療法により、ADLに対する自己効力感の向上が認められるのかを検討した。 【方法】対象は福島県福島市A地区在住の65歳以上の高齢者1334名を対象とした。なお、介護保険利用者は除いた。2003年8月に「閉じこもり」高齢者をスクリーニングするため、郵送法による調査をしたところ、1100名の有効回答を得た。本研究では「週1回未満の外出しかしない」と回答した人を「閉じこもり」と操作的に定義し、全体の14%が該当した。2003年10月に「閉じこもり」高齢者に対し、無作為化比較試験による介入研究への参加同意の確認と介入の効果を測定するため事前調査を実施した。そのうち、100名が同意し、2003年11月から前半群49名、後半群が50名の無作為化を行った。介入デザイン:「閉じこもり」対象者を前半介入群と後半介入群に分け、週1回、計6回の介入プログラムを実施した。内容は健康情報の提供、ライフレビュー、体操プログラムを組み合わせたものである。1回の介入は90分を設定した。事前評価と同一項目で事後評価を行った。身体的項目は生活体力、転倒の有無など、心理的項目は自己効力感、生活満足度など、社会的項目は老研式活動能力指標などであった。事後評価は2004年3月実施した。また、ライフレビューにおける発言、応答、意欲、表情など8項目の評価を実施した。 【結果および考察】介入群において、49名中21名が全6回のプログラムを終了した。14名は中途終了となった。介入完了者における、ライフレビュー時における評価では、ライフレビューの回数が増えるにつれて、それらの側面で改善の傾向が見られた。介入の効果については事後評価終了次第分析をする。
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