本研究の目的は労働者から血液を採取しDNAを抽出して、G蛋白β3サブユニット(C825T)、セロトニン5-HT2受容体(T102C)、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(G534A)、LDL受容体(C1773T)の遺伝子多型を分析すし、次に対象者の健康診断時の年齢、既往歴、家族歴、生活習慣、身体計測値、血圧測定値、および尿、血液の測定結果を追跡し、これらの遺伝子多型が他の要因を考慮しても、高血圧及び肥満のリスクがあるか、pooled logistic regression analysisを用いて解析を行うことである。本年度の実績としてまずあげられるのは、企業と交渉の上、労働者を研究対象として確保し、研究に関して説明を行い同意を得たことである。予防医学的に遺伝子多型を活用するためには、大規模集団を用いたケース・コントロール研究が必須であるが、インフォームド・コンセントの問題もあり、国内外で良好な大規模な一般人集団確保が非常に困難である。本研究での対象集団は、追跡調査が可能で、分析した遺伝子多型の影響をさらに詳細に検討できる。また、他の遺伝子多型を調査する場合においても貴重な研究資源になると思われる。他の本年度の実績としては、平成9年から13年まで毎年行われている健康診断時の年齢、既往歴、家族歴、生活習慣、身体計測値、血圧測定値、および尿、血液の測定結果をコンピュータに入力したこと、遺伝子多型調査のための検体を整理し、G蛋白β3サブユニット(C825T)遺伝子の多型の分析を開始したことで、現在約1000検体について分析が終了している。
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