わが国において高齢社会が進む現在、高齢者の自立支援・介護予防に向けた取り組みの中で、口腔保健は重要な一項目に挙げられている。高齢者において喪失歯が増加することにより咀嚼能力が低下し、さらにはQOL(Quality of Life)の低下へ繋がることは周知のとおりである。高齢者における喪失歯の増加には、老化現象だけでなく高齢者の口腔ケアに対する意識や生活習慣が影響している事も指摘されている。高齢者において喪失歯の増加を防ぎ咀嚼能力を維持しQOLを維持していくためには、老年期の前段階である壮年期における口腔保健行動に対する意識や実態を把握する必要があると考えられる。 本研究の目的は、高齢者の壮年期における口腔保健行動に対する意識や実態および生活習慣を把握し、歯を喪失する要因を検討する事である。 本研究は2年計画であり、今年度は1年目である。今年度の計画では、調査表の作成、調査の実施、データ入力までを行う予定である。 調査方法は、60歳以上で調査への同意の得られた者106名を対象とし、残存歯数など口腔内状況、現在の口腔保健行動および日常生活習慣、成人期の口腔保健行動および日常生活習慣を調査した。なお口腔内状況のうち口腔清掃状態の指標として、カンジダ菌検出簡易試験および歯垢指数算出を行った。倫理面への配慮として、対象者への調査の協力を依頼する際には、研究の意義を十分説明すると共に研究への参加は自由意志によることや調査用紙は厳重な管理を行いプライバシーの保護につとめ、調査から得られたデータを本研究以外に使用することはないことを明確に伝えた。なお、対象者からの調査の承諾は、対象者全員から書面による同意を得る事とした。 現在計画に沿って現在研究継続中であり、データ入力および分析を行っている。
|