本研究計画に基づき、研究2年目となる平成15年12月までに、研究対象である満65歳の地域住民男女計1500名(年500人×3年間)のうち、1063名の者からベースラインデータとして生活習慣調査を完了し、また、727名の者について生活体力測定、循環器検診及び頸動脈超音波検査、血液学的計測のための血清の凍結保存を予定通り完了した。 また既に研究初年度にサイトカイン・アディポカイン計測系(IL-2・IL-4・IL-5・IL-6・IL-10・IFN-γ・TNF-α)の基礎的検討を完了(変動係数(CV)がいずれの指標とも4-7%以内)していたが、一部の測定項目については健常者における分布範囲が狭いことから、更に高感度の試薬を用いることが望ましいと判断し、改めて測定を開始することとした。 本年度は、生活習慣及び循環器疾患既往歴情報・生活体力測定・頸動脈超音波検査所見の揃っている者の凍結血清のうち、まず男性の検体の測定を開始し、頸動脈超音波検査による動脈硬化が強い群ほど血清IL-6値の増加を認めた。尚、その他の測定項目については、傾向性を認めるに止まった。 最終年度である平成16年度は、解析対象者の補充を行うと共に予定通り残りの凍結検体を測定し、(1)頸動脈超音波所見のうちIMT等の定量的な動脈壁肥厚度とサイトカイン・アディポカイン・炎症反応の関連の検討(2)動脈硬化の性状分類(不安定なプラーク)とサイトカイン・アディポカイン・炎症反応との関連についての検討(3)動脈硬化の程度が比較的強いカテゴリーにおいてサイトカイン等のマーカーが高値(低値)を示す群とそうでない群での食生活習慣や運動能力のスコアの差、及び肥満・インスリン抵抗性・LDLを介したサイトカインへの影響に関する検討を実施する。
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