研究概要 |
【研究の背景】 わが国においては今後人口の高齢化がますます進むが、高齢者人口の増加は、地域の救急医療需要の急増をもたらす。この地域救急医療需要の急激な増加は、地域の病院前救護体制および救急医療システムに大きな影響を与えるものである。 【研究の目的】 救急医療需要の今後の推移を予測し、その予測をもとに、高齢化社会に適した地域医療体制および医療資源の適正な配分について検討を行う。 【研究の実際】 本研究では、横浜市を対象に研究を行い、(1)地域の人口統計学的データ、社会経済的データ、環境データ、医療供給関連データ、保健サービス関連データより、計量経済学の手法を用い、救急医療の需要関数を求めた。また、(2)導き出した計量モデルを用い、現在の救急医療の需要から、将来の需要を予測した。作成した計量モデルを用い推計したところ、横浜市では、高齢化の進展に伴い、2000年に121,606人であった救急搬送患者数は、2030年には25万人を突破し、2050年には30万人近くに達すると予測された。その需要予測に基づいた上で、(3)最適な地域救急医療体制について検討を行った。 【研究成果の公表】 研究の(1)(2)に関しては、その成果について、学会や学術雑誌(Yokohama Med.Bull(2003)、日本公衆衛生誌(2003)、日本循環器病予防学会誌(2003))で報告を行った。(3)に関しては、救急医療需要の時間的な解析を行い、学会や学術雑誌(Academic Emergency Medicine(2004))での報告を行った。
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