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2002 年度 実績報告書

作業環境下での継続的珪酸吸入による肺癌発生のリスクに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14770179
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

栗原 伸公  埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10234569)

キーワード遊離珪酸 / 珪肺 / 肺病 / メタ分析 / リスク
研究概要

従来、教科書的には、作業環境下での継続的遊離珪酸吸入は肺癌発生のリスクを高めないとされてきたが、1997年IARCは、作業環境下の遊離珪酸を発癌性物質と指定した。しかしながら、継続的遊離珪酸吸入が肺癌発生のリスクを高めるか否かについては、未だ結着が得られていない。本研究では、まず継続的遊離珪酸吸入による肺症発生リスクについて、国内外の数多くの文献に基づいて、メタ分析による評価を行った。まずMEDLINEなどを用いて得られた文献約300について、調査対象の選択方法、分析方法が適確であるか、交絡因子が適確に考慮されているかを1つ1つ評価し、適確であると思われたものだけを選択した。また、同一対象に対する複数の研究については、最新のものを選択した。こうして得られた文献データについて、random effects modelによるメタ分析を行ったところ、遊離珪酸曝露による肺癌発生リスクは、一般の肺癌発生リスクに比べ1.32(95% CI,1.23-1.41)倍であると推定された。したがって、IARCの評価と異なり、本研究では、作業環境下での継続的遊離珪酸吸入は肺癌発生のリスクをほとんど高めないと考えられた。さらに、これら文献の遊離珪酸曝露者の中には曝露の結果珪肺となっている人も多く含まれている。従来教科書的には珪肺は肺癌を合併しないとされていたが、珪肺についても同様に肺癌発生リスクを調べてみると、2.37(95%CI,1.98-2.84)となり、珪肺は肺癌発生リスクを有意に高めるものと考えられた。したがって、上記リスク値1.32は、純粋に遊離珪酸吸入によるものだけをとればさらに低下するものと思われた。実際、遊離珪酸を継続的に吸入している非珪肺患者の肺癌発生リスクについてのメタ分析では、もとになる文献は限られたが、0.96(95%CI,0.81-1.15)となった。以上のことから、本研究により本年度は、作業環境下での継続的遊離珪酸吸入は肺癌発生のリスクをほとんど高めないという結論が得られた。継続的珪酸吸入作業環境下での肺癌発生防止には、これまで同様珪肺発生防止に力を入れていくことが重要であると考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 和田 攻, 栗原伸公: "シリカ曝露、じん肺そして肺病-研究と対策の変遷と現状およびリスクアセスメント-"産業医学レビュー. 15・4. 199-277 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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