2002年に1人の男性から検出されたウイルスは個体内で多様な塩基配列をもっており、少なくとも2つの異なるウイルス集団に分けられると考えられた。この2つの集団の片方はアミノ酸の欠失や挿入をもつといった、異なる遺伝的特徴を有していた。ひきつづき2003年からの検体5例および確認検査で依頼のあった検体も含めて遺伝子解析を行うと、この男性のもつウイルス集団の片方(アミノ酸の欠失や挿入をもたないグループ)は2003年に陽性が確認された検体2例と非常に近縁であり、類似したアミノ酸配列を有することが確認された。 これらの結果をうけ、最近2002年、2003年においてHIV陽性が確認された検体の遺伝子解析を行った結果、いくつかの近縁な塩基配列をもつグループがみつかった。 また別の1人の感染者の体内には、遺伝的に異なる少なくとも2つのウイルス集団が存在することが明らかとなり、加えてそれぞれのウイルスが少し異なるルートで感染がひろがりつつあることを示すデータが得られたことより、異なる株の重感染をおこした感染者である可能性が示唆された。
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