本年度は、Hg、As、Cr、Zn、Pb等の標準物質を購入し、蛍光X線分析装置(HORIBA MESA-500W)及びICP-質量分析装置(ICP-MS、Shimadzu ICPM-8500)を用いて金属元素の検出を試みた。 1.蛍光X線分析装置 1%硝酸を用いて、Al、Cr、Co、Zn、As、Se、Hg、Pbの標準品を希釈し、作成した検体の50μlを直径2.5cmのろ紙に滴下し、ドライヤーを用いて完全に乾燥させた。ろ紙を蛍光X線元素分析装置にセットし、真空引きした状態で、15kV、および50kVの電圧で測定を行った。その結果、Cr、Co、Zn、As、Se、Hg、Pbでは50kVで検出する方が高感度であり、以降は50kVで感度を検討した。Alについては15kVと50kVでの測定値に差はなかったため、双方の値で検討をした。Cr、Co、Zn、As、Seの検出限界はそれぞれ50ppm程度、Hg、Pbでは100ppm程度であり、Alでは15kV、50kVとも1000ppm程度であった。検量線を作成したところ、Cr、Co、As、Seでは62.5-250ppm、Znでは62.5-500ppm、Hg、Pbでは125-1000ppmの範囲で比較的良好な直線性を得た。Alについては直線性を得られなかった。なお、今回の分析は全て自動分析を用いたが、AsのkαラインとPbのLαラインの出現するエリアが隣接しているので、干渉を避けるため別々に検体を作成し分析を行った。Al、Cr、Co、Zn、As、Seはkα、HgはLα、PbはLβのラインを用いて検量線の計算を行った。 2.ICP-MS 1%硝酸を用いて、Al、Cr、Zn、As、Pbの標準品を希釈し、分析を行った。Al、Cr、Znの検出限界はそれぞれ0.01ppm程度、As、Pbでは0.02ppm程度であった。検量線を作成したところ、Al、Cr、Znでは0.01-100ppm、As、Pbでは0.02-100ppmの範囲で比較的良好な直線性を得た。
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