昨年までに、C.parapsilosis菌血症例において、初代分離株(CP1)はフルコナゾール(FLCZ)に対して一部のクロワンが耐性を示すheteroreisitance株であり、FLCZ曝露により耐性クローンが選択されることがin vitroで明らかとなった。これは臨床的にみられた治療早期の耐性化を実証するものと考えられた。本年は得られた耐性クローンの安定性を調べたが、その結果、薬剤無しの環境下では、耐性クローンCP1-Rのみならず臨床耐性株CP2も16継代から22継代でhomoresistantからheteroresistantに回復した。 日常検査として用いられている微量液体希釈法では、heteroreisitanceは検出することが困難である。一方Etestは、MIC測定と同時に阻止円内に発育するmacro colonyを目視できる点で優れている。さらに、接種菌量をMcF 0.5から2へと濃くすることにより(macro法)、macro colonyの発現を増強することが可能となり、heteroresistance subpopulationの判定が容易になった。そこで、国内で分離されたカンジダ属200菌株を対象にし、macro法でスクリーニングを行ったところ、9株(4.5%)で阻止円内でのmacro colonyの発育が観察され、heteroreisitance株である可能性が示唆された。これら9株中、Candida glabrata2株ではポピュレーション解析で、heteroresistanceを確認するとともに、薬剤曝露によりhomoresistant化することが明らかとなった。現在引き続き他の菌株についての生物学性状を確認している。
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