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2003 年度 実績報告書

ヘリコバクターピロリのアポトーシス誘導因子の精製

研究課題

研究課題/領域番号 14770224
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

柴山 恵吾  国立感染症研究所, 細菌第二部, 研究員 (50283437)

キーワードヘリコバクターピロリ / アポトーシス / ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ
研究概要

この研究で、H.pyloriが産生するアポトーシス誘導蛋白を精製し、その蛋白の同定を行うことに成功した。この蛋白は、これまでに知られているH.pyloriの病原因子とは全く違うものであるとともに、H.pyloriによる宿主細胞のアポトーシスの誘導に大きな役割を果たすものであることが分かった。この蛋白は、γ-glutamyl transpeptidase (GGT)であることが分かった。GGTがアポトーシス誘導に関与しているということはこれまでに報告がなく、新しい知見である。GGTは一般的にグルタチオンなどのγ-glutamyl基を含む物質からglutamyl基を遊離し、他のアミノ酸に転移する活性を持つとされるが、H.pyloriのGGTのアポトーシス誘導活性には基質としてグルタミンが関与していることが示唆された。なお、GGT活性はH.pyloriの特徴的な生化学的性状の一つで、この菌の同定の際の指標にもなるとされている。我々も臨床分離株83株について調べたところ、全ての株がこの蛋白を産生していた。このことは、全てのH.pyloriがアポトーシス誘導活性を持つことを示唆する。HP1118遺伝子を欠損させたisogenic mutant株は、親株に比べてアポトーシス誘導活性が有意に低かったため、GGTはH.pyloriのアポトーシス誘導活性の中で重要な役割を果たすものの一つであると考えられた。この研究により得られた結果はこれまでの常識を覆す側面を多く含んでおり、H.pyloriの病原性の研究に新たな突破口を開くとともに、今後の発展が非常に期待できるものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 柴山恵吾, 荒川宜親: "Helicobacter pyloriによるアポトーシス誘導"日本ヘリコバクター学会誌. (発表予定). (2004)

  • [文献書誌] 柴山恵吾, 蒲地一成, 八木哲也, 土井洋平, 柴田尚宏, 山根一和, 加藤はる, 荒川宜親: "Helicobacter pyloriのアポトーシス誘導蛋白の精製、同定"日本ヘリコバクター学会誌. (発表予定). (2004)

  • [文献書誌] Shibayama K., Kamachi K., Nagata N., Yagi T., Nada T., Doi Y., Shibata N., Yokoyama K., Yamane K., Kato H., Iinuma Y., Arakawa Y.: "A Novel Apoptosis Inducing Protein from Helicobacter pylori"Molecular Microbiology. 47(2). 443-451 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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