1)特異的抗体作製と免疫組織染色。 XIX型コラーゲンのN末端側とC末端側の非コラーゲンドメインのcDNAよりGST融合タンパク質を作製し、それぞれから抗原に対して十分な力価を持つモノクローナル抗体とポリクローナル抗体を作製した。この抗体を用いてマウス20〜30匹分の脳組織からのコラーゲン抽出物に対するウエスタンブロットを行ったところ、XIX型コラーゲンのバンドが検出され、KOマウスではこれが欠損していることを確認した。しかしながら組織切片に対する免疫租織染色及び免疫電顕染色において、十分な染色性を持つ抗体はまだ得られていない。原因として、XIX型コラーゲンの発現量が低いため検出限界を下回ってることが考えられる。現在、より力価の高い抗体をスクリーニングすることと、検出感度を上げる試みを行っている。 2)透過型電子顕微鏡による観察 生後1年を経過するKOマウスの下部食道括約部を透過型電子顕微鏡で観察したところ、平滑節細胞間の基底膜層に乱れたコラーゲン線維が増生し、平滑筋同士の接着が損なわれていた。この線維化は食道拡張を起こしていないKOマウスにも見られたが健常マウスには見られなかった。さかのぼって出生直後りKOマウスの観察では線維化は起こっておらず、著明を変化はまだ見られなかったがKOマウスでは平滑筋の基底膜層の間隙が健常マウスと比べ若干拡がっている傾向がみられた。
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