研究概要 |
実験に際し必要な遺伝子発現アデノウイルス(AdTβ-TR, AdLacZ)は既に作成していたものを使用した為、各種発現アデノウイルスの増幅を行ない、高ウイルスタイター液を必要量作成した。実験計画に基づき、各群のラットを経時的に作成した。ラット作成は当初は肝硬変モデルラット作成し遺伝子導入後21日まで作成予定であったが、今年度は遺伝指導入後7日目までの経時的ラットの作成までとした。作成後各群のラット肝臓よりRNAを抽出し、ラットHGF, TGF-αに対する特異的遺伝子配列よりプライマーを設定し、各サイトカインの定量的RT-PCRを行なった。変異型TGF-βII型受容体遺伝子導入後の肝臓内では、TGF-αの遺伝子発現は遺伝子導入後より5日目、7日目に対照群と比較し優位に発現の増加を認めた。HGFの遺伝子発現は予想に反して遺伝子導入後より7日目以内での有意な発現の増加は認めなかった。コラゲナーゼ潅流法を用いての各種細胞分離後の遺伝子発現の検討は現在検討中である。肝組織切片の免疫組織化学染色は、抗Ki-67抗体,TUNEL染色のみ行なった。抗Ki-67抗体を用いた肝細胞増殖活性は、変異型TGF-βII型受容体遺伝子導入後の肝臓内では、遺伝子導入後7日目で対照群4.5%に対し14.8%と有意に上昇していた。しかし、TUNEL染色では遺伝子導入後7日目で対照群40.8%に対し2.2%と有意に抗アポトーシス作用を認めた。
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