研究概要 |
方法 (1)SAMP1/Yit腸炎モデルマウスの細胞内シグナル伝達の検討 SAMP1/Yit腸炎マウスの腸粘膜組織における転写因子(STAT, MAPK, EAK,及びCIS/SOCS ; SSIファミリー)の発現をWesten blotting, Northern blottingで検討した。また腸粘膜における上皮細胞、リンパ球を分離し、IL-6,STAT3活性化をAKRマウスと比較するとともに、免疫染色を施行しSTAT3の局在を確認した。 (2)上皮細胞におけるSTAT3,CIS/SOCS/SSIファミリーの役割検討 腸上皮細胞株CMTにCIS3遺伝子をトランスフェクトさせ、セレクションによりCIS3を安定発現しているCMT(CMT-CIS3)を作成する。LIF,IL6刺激によりSTAT3を活性化させ増殖能を比較した。 結果 (1)SAMP1/Yit腸炎マウスの腸粘膜組織では腸炎が誘導される前の10W頃より著明なSTAT3の活性化を認め腸炎が誘導される15-20WでSTAT1,STAT3,STAT5,STAT6,MAPK,EAKの活性を認めた。炎症部粘膜においてCIS/SOCS familyの高発現をを認めた。 SAMP1/Yit腸炎マウスの腸粘膜組織のSTAT3の染色により、STAT3は浸潤単核球、上皮細胞に存在し、炎症部において活性化の増加を認めた。 (2)CIS3を上皮細胞に導入する事により、CMT細胞の増殖能の低下を認め、サイトカイン産生能も低下傾向を認めた。 結語 SAMP1/Yit腸炎マウスにおいて様々なシグナルが活性化しているが、腸炎発症前においてIL-6の増加、STAT3の著明な活性化を認めており、リンハ球、上皮細胞においてのSTAT3の活性化やCIS/SOCS familyは、リンハ球、上皮の増殖能などを介し、腸炎の病態に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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