研究概要 |
6週齢雄性スナネズミを購入し、Helicobacter pylori(H.pylori)標準株のATCC43504を、ゾンデを用いて経口接種させ、H.pylori持続感染モデルを作成した。経口接種後1,3,5,7,9ヶ月の各時点で、近年、活性化白血球の組織浸潤抑制作用が確認されているIS-741 10mg/kgを14日間経口投与した。コントロールとしては蒸留水を同時期に同期間だけ経口投与した。各時期のIS-741投与終了時点で、コントロール群とIS-741群の双方2匹ずつ屠殺し、組織学的胃炎の程度を比較した。コントロール群では、感染早期には好中球浸潤そして次第にリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤がみられたが、IS-741群では炎症細胞浸潤の抑制とともに粘膜上皮の脱落等の組織学的胃炎の改善傾向がみられた。さらにapotosisの評価としてTunel染色を行ったところ、IS-741投与群ではコントロール群との比較において明らかにapotosis陽性細胞が少ない傾向が各時期ともにみられた。IS-741がapotosisを抑制する可能性を示唆するものと考えられた。さらに、今後は各時期の屠殺時に採取した血清を使用して、H.pylori持続感染状態で上昇するとされるcytokineのうちIL-6、IL-8などのpro-inflammatory cytokineを測定する予定である。また、これらの項目は、12,14,16,18,20,14ヶ月の各時期に引き続いて検討していく予定である。
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