Respiratory syncytial virus (RSV)は乳幼児において気管支喘息の発症や増悪に関係するといわれているが、その機序は完全には明らかになっていない。我々はアレルゲン感作とウイルス感染の両方において重要な細胞である樹状細胞に着目した。樹状細胞は強力な抗原提示能を有するプロフェッショナル抗原提示細胞であるが、特異的なマーカーを発現せず、数が生体内において非常に少ないため、生体からの分離は困難である。そこでBALB/cマウスの骨髄細胞をGM-CSFとともに培養することでマウス骨髄由来樹状細胞を作製し、この樹状細胞にダニアレルゲンパルスを行う前にRSVを感染させた後、別のマウスの気道へと移入し、アレルギー性気道炎症を惹起させた。RSV感染によりマウス骨髄由来樹状細胞からの免疫調整性サイトカイン産生、表面マーカー発現はTh1優位へと変動した。また、この樹状細胞を移入されたマウスではアレルギー性気道炎症が組織学的に抑制され、所属リンパ節におけるTh2優位の免疫反応も抑制されていた。即ち、樹状細胞にRSVが感染すると、この樹状細胞はin vitroとin vivoの両方でTh1優位の免疫反応を誘導するphenotypeへと変異した。従って、少なくとも樹状細胞に直接感染した場合、RSVはアレルギ-の誘導を抑制する。
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