研究概要 |
神経疾患発症の栄養学的観点からみた予防的医療システムの構築を目的とし,鳥取県大山町の一般住民を対象として神経疾患のスクリーニングを行い,詳細な食事調査と種々の血液成分の測定(脂質,脂肪酸分画,ホモシステイン,ビタミン各種等)により,食生活に関連した神経疾患の危険因子の同定を試みるため,本年度は昨年行なわれた調査を継続し,認知機能と栄養に関する血液成分との比較検討を行った. 大山町住民631名(男197名,女434名,平均年齢68.8歳)を対象として,町内で行われた健康相談(月1回),体操教室,痴呆予防教室,在宅訪問診査(月2〜3回),住民一般検診などの機会において文書にて同意を得た後,神経内科専門医により一般理学的,神経学的診察を行うともにMini-mental State Examination(MMSE)を行った.MMSEを得点別(30-29,28-27,26-25,24-4)の4群に分け,血中ビタミン値および総ホモシステインとの比較においてはビタミンCにおいて24-4群が各群と比較し低値を,総ホモシステインにおいては高値を示した.MMSEと簡易global depression scale(GDS)には負の相関関係が認められた.一年間MMSEを追跡し,その得点が低下した群と不変の群との比較では,各種血液検査にて明らかな相違は認められなかった.本年度の結果においては昨年度の調査と同様に高齢者の認知機能と血清ビタミンCおよび血清総ホモシステイン濃度との関連性が示唆された.
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