研究概要 |
本研究は,パーキンソン病患者に対する深部脳刺激療法をより簡便かつ低侵襲的に行うべく,進歩の著しい経血管内手術手技を同治療法に応用することを目的とする.平成14年度から15年度の2ヵ年計画で(1)パーキンソン病のモデル動物を作製し、(2)脳深部へ経静脈的に微小電極を挿入・通電することにより、パーキンソン病症状の改善を確認する予定である。初年度にあたる平成14年度はモデル動物作製を行った。 全身麻酔下のマウスおよびラットの間脳黒質へ60H-DOPA(酸化防止にアスコルビン酸を少量混入)をStereotaxicに注入し,パーキンソン病モデル動物を作成した。効果の判定のため,VTRにて撮像下,薬物負荷を行い,回旋運動を定量化した。回旋運動の誘発できないものを除外することにより,一定以上の障害をもつ動物のみを電極実験に供することができることが判明した。またRotarRodを用いることにより,より実際的な運動能力の低下(この場合は回転する棒の上での運動継続能力)を定量化できることも明らかになった。次年度は今年度に得たモデル動物を用いて実際にカテーテル挿入と通電刺激を行う予定である。 関連した研究として,MRIを用いたヒトのパーキンソニズム病態解明に関する論文を投稿した。うち1本はJournal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry誌にAcceptされ,近日中に掲載予定である(裏面参照)。さらに他の1本をNeuroreport誌に再投稿中である。後者は,実際にヒトの基底核への電気刺激を行う上でMRIによる刺激部位同定にDiffsuion Tensor法が有効となることを世界で最初に指摘する論文となることが期待される。
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