• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

タイラーウイルスにおける持続感染および脱髄発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 14770299
研究機関金沢医科大学

研究代表者

姫田 敏樹  金沢医科大学, 医学部, 助手 (80340008)

キーワードタイラーウイルス / ミクログリア / マクロファージ / L^*蛋白 / ウイルス増殖
研究概要

タイラーウイルス慢性亜群DA株による持続感染・脱髄には、DA株でのみ産生されるL^*蛋白が重要であり、またウイルスの主たるリザーバーはマクロファージであると考えられている。我々はこれまでにDA株のL^*蛋白開始コドンをACGに変異させたL^*蛋白非産生ウイルス(DAL^*-1)を作製し、脳内のレジデントマクロファージと考えられているミクログリアにおいてこのウイルスが増殖しないことを明らかにした(Neuroscience letters 327(2002)41-44)。そこで本研究では、L^*蛋白の機能を調べるためにレンチウイルス発現系を用いて、L^*蛋白と3×FLAG融合L^*蛋白をそれぞれ定常的に発現するマクロファージ細胞株を樹立し、その機能解析に用いた。
単離した各細胞におけるL^*蛋白の発現は、Western blottingにより確認した。これらの細胞におけるDAL^*-1ウイルスの増殖について解析した結果、純粋なL^*蛋白を発現する細胞でのみ、感染後12時間にピークを示す増殖が認められたが、他の細胞では増殖は認められなかった。さらに、このL^*蛋白の有無によるウイルス増殖の違いが増殖過程のどの段階で起こっているのかを明らかとするため、+鎖RNA複製についてRNase protection assayにより解析したところ、L^*蛋白と3×FLAG融合L^*蛋白を発現した各細胞でDAL^*-1ウイルスのRNA複製が確認された。
これらの結果は、DA株のマクロファージでの増殖にL^*蛋白が不可欠であり、それはゲノムRNA複製以前の段階に影響することが強く示唆された。また、3×FLAGをL^*蛋白N末端に融合した物では、ウイルスが増殖しないにも関わらずRNA複製が起こっていたことから、L^*蛋白はRNA複製以降の段階にも関与し、その機能にはN末端領域が重要である可能性も考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] M.Suenaga, N.Arakaki, K.Morokami, T.Himeda, H.Shibata, M.Kuwajima, T.Higuti: "Functional disorders of the oxidative phosphorylation system in the heart mitochondria of mice with juvenile visceral steatosis"Biol Pharm Bull.. 26・3. 289-294 (2003)

  • [文献書誌] K.Asakura, H.Murayama, T.Himeda, Y.Ohara: "Epitope-tagged L^* protein of Theiler's murine encephalomyelitis virus is expressed in the central nervous system in the acute phase of infection"J Virol.. 76・24. 13049-13054 (2002)

  • [文献書誌] Y.Ohara, T.Himeda, K.Asakura, M.Sawada: "Distinct cell death mechanisms by Theiler's murine encephalomyelitis virus (TMEV) infection in microglia and macrophage"Neurosci Lett.. 327・1. 41-44 (2002)

  • [文献書誌] Y.Ohara, T.Himeda, K.Asakura, J.Yamamoto, H.Iizuka: "Effects of L^* Protein of Theiler's Murine Encephalomyelitis Virus (TMEV) on its Biological Activities"J. Kanazawa Med. Univ.. 27・2. 108-111 (2002)

  • [文献書誌] Y.Ohara, T.Himeda: "Establishment of Human T-Cell Leukemia Virus Type I (HTLV-I)-Infected Human Monocytic Cell Line"J. Kanazawa Med. Univ.. 27・2. 112-116 (2002)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi